月刊ジブリパークにて宮崎吾朗監督が「もののけの里エリア」の構想についてのインタビューが公開されました。
「もののけ姫」の主人公アシタカが住んでいた「エミシの村」がイメージの一つとなっており、エミシの村を襲ったタタリ神も設定に近い大きさで造って設置されます。
劇中に登場するたたら製鉄民の共同体「タタラ場」をイメージした建物は体験学習施設となり、隣には炭焼き窯が置かれ、はこれからですが陶芸体験を意識したプログラムが検討されています。
宮崎吾朗監督(54)にジブリパークの構想、理念を聞くインタビュー。今回からは、先行三エリアのおよそ一年後の開業を予定する二エリアについて語ってもらいます。まずは、映画「もののけ姫」の世界をイメージした「もののけの里エリア」。かつて、建設コンサルタント会社で公園緑地、都市緑化などを担当した吾朗監督ならではの話も聞きました。 (聞き手・古谷祥子、谷村卓哉、花井康子)
「タタラ場」を体験型施設に
もともと、「里山開拓団」と呼ばれる人たちが、自主的に里山づくりを進める区域「あいちサトラボ」がある場所です。サトラボには田んぼ、ため池、果樹園などと農家的な拠点施設があり、将来、拡張予定だった隣接の用地がパークの一部として整備されることになりました。ここが他の四エリアとは異なる点で、有料ゾーンにはなりにくいのかなと思っています。
「もののけ姫」の主人公アシタカが住んでいた、縄文的文化を残す「エミシの村」がイメージの一つ。キビやヒエ、アワといったものを育てる段々畑があるような山間地の風景です。エミシの村を襲ったタタリ神と、正体であるイノシシの造形物も設定に近い大きさで造って置く予定です。同じく、劇中に登場するたたら製鉄民の共同体「タタラ場」をイメージした建物は体験学習施設に。吹き抜けで平土間があり、さまざまな形で自由に使える空間です。隣には炭焼き窯も。プログラムの検討はこれからですが、愛知県は瀬戸、常滑を抱える焼き物の国なので陶芸体験は意識しています。いずれにせよ、丸一日とか数日かかる作業は難しいかもしれません。ただ、本格的にもできるように設備は整えたい。屋根は芝生で全面緑化します。
また、サツキとメイの家の隣にあった解体済みの旧管理棟は、ここに移築して休憩施設にします。愛・地球博(愛知万博)で建てた当時から、うどん屋かきしめん屋にしたら面白いなと思っていたので、そういうイメージで使ったらどうだろう。あんみつでもいいですが、おなかいっぱい食べるというより、茶店のような一休みできる場になればいい。こちらの屋根は、木の薄板を重ねる日本古来のこけらぶきにします。
植栽が課題
このエリアでは、植栽基盤をいかに良好に整えるかも大きな課題です。建物を建てるより断然、難しい。というのも、僕らが住む関東の土壌と箱根から西の土壌は、びっくりするほど性格が異なるんです。いわゆる真砂土で、砂礫(されき)分が多く粘性がある。愛・地球博記念公園の周辺を見ても、水はけが悪く固まりやすい土が少なくないようです。
そんな場所にただ穴を掘って木を植えても、中に水がたまってしまい、酸素不足で根が腐ってしまう。たとえ息を吹き返してもなかなか元気に育ちません。せっかく植えた木が軒並み枯れるようではかわいそうだし、すてきな場所になり得ない。木が生き生き育つ環境づくりに努めたいです。