「アカデミー映画博物館」アメリカ・ロサンゼルスに2021年9月30日(現地時間)にオープンします。この開館を記念し、『宮崎駿展』が開催され、北米初の宮崎駿監督に焦点を当てた回顧展となります。
今回の『宮崎駿展』では、宮崎駿監督の長編アニメーション作品『となりのトトロ』、『千と千尋の神隠し』などから、海外初出品のものを含む、オリジナルイメージボード、キャラクターデザイン、絵コンテ、レイアウト、背景画、ポスター、セルなど約300 点以上をダイナミックに展示し、フィルムクリップの大型投影など臨場感たっぷりの環境の中、半世紀を超える宮崎駿監督のキャリアを振り返ります。
ツリートンネル
『となりのトトロ』に登場する 4 歳の“メイ”の後を追って、宮崎駿監督の魅力的な世界へいざなう「ツリートンネル」ギャラリーに入ります。
クリエイティング キャラクター
宮崎作品の主人公たちの映像がマルチスクリーンで上映されています。『となりのトトロ』、『魔女の宅急便』や『もののけ姫』などのキャラクターデザイン原画をはじめ、海外未公開の作品も含めて、キャラクターがどのようにして誕生したのかを紹介します。
メイキング
故・高畑勲監督と共に、長期にわたり取り組んだ作品をはじめ、初期の作品を中心に紹介します。『アルプスの少女ハイジ』や初監督作『ルパン三世 カリオストロの城』などをご覧いただけます。また、『風の谷のナウシカ』のスペシャルトリビュートでは、宮崎駿監督のキャリアやスタジオジブリの設立に、いかに重要な作品だったかが強調されています。
クリエイティングワールド
宮崎作品にもよく登場する、美しい自然や平和な環境と、労働や技術が支配する産業の世界とのコントラストを総合的に捉えています。『天空の城ラピュタ』のオリジナルイメージボードや、その後のジブリ作品のアートワークなど、宮崎駿監督のイマジネーションを垣間見ることができるコンセプトスケッチや背景画をご覧いただけます。『千と千尋の神隠し』の有名な湯屋や『崖の上のポニョ』の水中世界、『紅の豚』(1992 年)や『風立ちぬ』などの“飛行”をテーマにした作品のように、宮崎駿監督の美術設定における、複雑な垂直構造の魅力に焦点を当てた展示となります。
スカイビュー インスタレーション
本展の見どころとして、宮崎作品のもう一つのモチーフとなる「ゆったりとした時間を過ごしたい」「一休みしたい」「考えたい」「夢を見たい」という思いを表現したスカイビュー インスタレーションでは、ゆっくりとした時間を過ごしていただけます。
トランスフォーメーション
ここでは、宮崎作品の登場人物やストーリーが目覚ましい変容を遂げていく様子など、映画の世界観を体感していただけます。例えば、『ハウルの動く城』(2004 年)では、主人公たちが様々な感情とともに肉体的な変容を遂げ、『風の谷のナウシカ』では、人間が自然界に及ぼす様々な影響を、異様で想像力豊かな方法で表現しています。
マジカルフォレスト
宮崎作品に登場する巨大で神秘的な木は、夢と現実の狭間で、別の世界への扉を開いてくれます。本展の最終ギャラリーでは、『もののけ姫』に登場する森の精霊“コダマ”たちや、自然描写を中心とした、宮崎作品のイメージボードや背景画が展示されます。「マジカルフォレスト」ギャラリーから再び通路を進んでいくことで、宮崎駿の想像力豊かな世界から博物館に戻れるようになっています。
宮崎駿監督の映画の世界を、豊富なイラストレーションと共に味わえる 256ページに及ぶカタログをご用意しています。初期のテレビ作品から全11本の長編映画に至るまでの制作資料により、宮崎駿監督の創作過程と卓越したアニメーション技術への理解を深めることができます。鈴木敏夫氏による序文や、ピクサーのピート・ドクター監督等によるエッセイや、図版付きのフィルモグラフィーが収録されています。
また、アカデミー映画博物館内の最新鋭の劇場にて、日英両言語での映画上映や公開プログラム、ミュージアムストアではスタジオジブリに関連するユニークなグッズなどもご用意しております。