宮崎駿監督「一話ですか……。僕はもう、一話を見たとたん、首を吊ろうかと思った。シネビームって録音スタジオに行くと、裏がお墓で、そこに紐がぶらさがっているんです(笑)。ラナってのはね、コナンが一目見たとたんに、一生この女のために頑張るぞというくらいの美少女でなければならないと思い込んでるのに、(大塚さんが描いた)すごいブスラナが出てきましてね。」

師弟関係の宮崎駿監督と大塚康生さんですが、「未来少年コナン」では一悶着があったようです。
大塚康生さんが描いたラナを宮崎駿監督は“ブスラナ”とばっさり。
美少女に関しては「ルパン三世 カリオストロの城」のクラリスも大塚康生さんは描かせてもらえなかったとか。
もちろん、メカの作画については宮崎駿監督も一目置いています。



以下、宮崎駿監督の著書「出発点」より

「未来少年コナン」

  宮崎 一話ですか……。僕はもう、一話を見たとたん、首を吊ろうかと思った。シネビームって録音スタジオに行くと、裏がお墓で、そこに紐がぶらさがっているんです(笑)。ラナってのはね、コナンが一目見たとたんに、一生この女のために頑張るぞというくらいの美少女でなければならないと(僕は)思い込んでるのに、すごいブスラナが出てきましてね。

  --一話はもう完全に大塚さんの絵ですね。

  宮崎 そうなんです。僕はそれから狂ってね。二話から全部原画チェックを取っちゃって、八話まで取りきりに取っちゃってね。それで大塚さんはすっかりコンプレックスに陥りましてね。僕はやっぱりアニメーターなんですよ。コナンがラナを抱え上げるときは〝鳥のように軽やかに〟持ち上げなけれはならないのに、大塚さんは理屈の人だから、ヨイショって持ち上げてる。あれは大塚さんの奥さんを持ち上げてるんだなんて悪口を言ったりしてね。「ハイジ」で始めた、歩幅を狭くしてね、タッタッタッて歩いてくるとか、延々と歩いていくとか、あるでしょ。でも、地平線から三歩くらいでやってくるってのが漫画映画でしょ。アルファルファじいさんとか、僕は大好きなんだけど、向こうからダーッと走ってくる、ああいうのは漫画映画でなきゃできないでしょ。あれを実写でやれったってできない。そういうアニメーションの属性を捨ててしまうのは、本当にもったいないことだと思うんですよ。全力疾走だったら、普通の人間じゃできないくらいの速さで走ってきて欲しいしね。そういうことは一種の表現になると思うんですよ。日本アニメーションはこれまでゆったりしたタイミングのものをやってきましたからね、「コナン」はものすごい当惑を持って迎えられたんですよ。忙しくて気が狂いそうだとかね。スタッフの中にも、それは、ずっと続いてましたね。


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